センター長挨拶

センター長挨拶

近年の社会における様々な問題は、社会の目まぐるしい変化とともに、ますます複雑化してします。この複雑な社会課題の解決を目指す中で、「総合知」という新しい考え方が提唱されるようになりました。これは、多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むことを指す言葉だそうです。これは、近年の複雑で多岐にわたる社会課題の解決に寄与するためには、従来のアプローチのみならず、より多様なアプローチが求められていることを示唆します。

社会は人間とその活動によって成り立っています。そう考えると、人間の認識や行動のもとになる脳活動や脳内情報処理の原理に着目し、人間そのものの理解、社会の中の人間の理解をすすめることは、社会とそこで引き起こされる社会現象の理解につながるものです。脳科学は社会課題解決における多様なアプローチの候補のひとつと言えるでしょう。

このような背景から、一橋大学社会高等研究院に脳科学研究センター(HIAS-BRC)は、社会科学系総合大学としての伝統をもつ一橋大学の強みを生かしながら、社会科学に脳機能計測、および脳科学の考え方を応用すること、さらには、社会課題解決に脳科学からの知見を活かすことを目的に設立されました。

脳科学的手法によって、社会を構成する人間の認識、社会現象のもとになる意思決定、社会の中の人間の多様な価値観を理解することで、社会科学と脳科学が結びつき、新たなアプローチが生まれる可能性が広がります。世界的な社会科学研究者が多く集まる一橋大学に蓄えられた知見に脳科学の知見を融合することで、社会の理解に新たな視点をもたらし、現代の複雑な社会課題に対する独自のアプローチを確立することが本センターの使命です。

さらに、本センターの磁気共鳴画像装置(MRI)を含む脳機能計測に必要な設備を学外へも開放することで、本学の研究者のみならず、国内外の他大学、研究機関、民間企業と新たな研究プロジェクトを展開していきます。このような共同研究により、社会科学のさらなる発展と社会課題解決に貢献する脳科学の実現が期待されます。

このように、本センターは、脳科学と社会科学の融合による最先端研究を推進し、現代の複雑な社会課題に新たな洞察と創造的な解決策を提供することに努めていきます。

HIAS脳科学センター
センター長
福田玄明